居場所つくり・働き場づくり
ワーカーズコレクティブ紙ふうせん代表 宮野 洋子

 私たちは1995年3月に野田市岩名2丁目にリサイクルショップを設立し、ワーカーズコレクティブで地域で事業・展開してきました。ごみを減らす目的で、リサイクルをすすめる為いらない人から要る人への仲介をしてきました。生活が豊かになり物が回りに溢れている現状で、シンプルに暮らしていくこと、使い捨てをしない、今あるものを大切に、余計なものは買わない生活を提案しています。又様々な人が気楽に立ち寄れ、おしゃべりができるホットな場所つくりもしてきました。
 お惣菜とリサイクルの店を立ち上げる中、これからずっと住み続けていくこの街に何が欲しいか考えた時、地域の人、誰もが気軽に立ち寄れる溜まり場として場所つくりがしたいと思いました。若い人から高齢の方、ハンディーを持っている様々な人が参加、利用できる場所にしたいと思っています。
 広い60坪のこの場所に厨房を作り、安心・安全な食材で作った惣菜、御弁当の販売・配達です。高齢者、障がい者の人への配食も考えていきたいと思います。店内ではホッとできる空間を作り工夫した日替わりランチやお茶なども出したいと思います。リサイクルショップと展示コーナーやホール、会議室などを作り地域の人がここを利用し、力を発揮し、楽しめる場所になればと思います。現在13人のメンバーでオープンに向け準備していますがここで働く仲間はこれからも増やして行きます。若い人はもちろんのこと、まだまだ元気な高齢者、障がいをもっている人の参加を考えています。
 この場所で地域と皆が元気に楽しく支えあって真の豊かな生活をしていくための街づくりをしたいと思います。

小津監督作品を顧みて
 学生の頃、フィルムセンターで小津作品をむさぼるように観た。最初の頃はサイレント映画も多く小品も含めて50本以上撮っている。戦前の作品では、小市民を描いた喜八もの三部作、特に「生まれてみたけれど」が良かった。大人の世界の上下関係は子どもには全然関係ないという内容をおもしろおかしく描いている。又、先日「戸田家の兄妹」を久しぶりに観たが、親をたらい回しした兄妹に対し、次男が人間関係が悪くなるのにもかまわず、強く叱咤している画面に胸が熱くなった。
 戦後の作品にも共通して言えるのは、親と子のつながり、特に老後の親への尊敬とか、娘の幸せを願う気持ちを丹念に描いていて、学生の頃はどれも同じような印象に感じられ、少し退屈だと思っていたが、年齢を重ねるごとにセリフの重みや新しい発見があり、本当にすごい映画だと思うようになった。又何年か後に観たら違った感想をもつだろう。
 俳優では杉村春子の存在が素晴しく、悪気はないのだが、正直な気持ちを言葉にする役柄が画面を引きしめている。他には、佐分利信の声、子役時代の高峰秀子、モダンな桑野通子が秀逸で私の好みである。
 時代や国や宗教を越え、世界じゅうから愛され評価の高い小津作品をもっと大切に保存して、永遠に承け継がれるべきだと強く願っている。
福山 拓也(山崎在住)

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