市民ネットワーク 12月議会レポート

中井 洋子
不燃物処理施設の入札 不調に終わる
やはり問題の多いPFI事業

 2005に地元三ツ堀自治会との裁判で実質敗訴となった市は、2010年3月までに新施設をPFI事業で建設するために、昨年12月に入札を行い、今年3月の議決後には契約の予定だった。

 12月議会で「事業者だけで土地を確保するというのは、全国でも事例がなく難しいのではないか、また市の責任が明確でない」と質問すると「事例が有る無しの問題ではない」と強気の市長発言だった。しかし蓋を開けてみると入札参加希望者は2事業者だけで、しかも参加資格があると認められた1事業者についても『施設整備計画において充足しないものがあった』と、12月28日に入札不調の決定をした。やはり用意確保に問題があったのではないかと推測するが、市は要因分析を行い、今後もPFI事業とするのか十分な再検討が必要となった。
 現施設は『2010年3月に稼動停止、翌年3月には撤去』が和解の内容だが、このままでは不可能だ。市は裁判後も地元に謝らず、市長は議会でも不誠実な発言を繰り返し、硬直した関係のままだ。真摯に謝罪し、市民との信頼関係を取り戻すことからはじめなければ次に進めないはずだ。

(PFI事業=公共施設を民間の資金や手法を活用して建設・運営する)


連結決算の導入と市民にわかりやすい財政説明を

 夕張市の財政破綻をきっかけとして、決算カードなどを基に分析して、市民版財政白書を作る動きが国立・多摩市を中心に札幌や愛知県など全国的に起きている。  そのために必要なのが行政情報だが、北海道ニセコ町で毎年各過程に配布している「もっと知りたいことしの仕事」はピカイチだ。事業ごとの予算と説明、借金や基金などの財政状況、19年度版からは新たな財政指標も加えた市民向けの予算説明書となっている。

 また国が、2008年度決算から導入を義務付けた「自治体健全化法」の4指標は、連結実質赤字比率・実質公債比率・将来負債比率・実質赤字比率で、これまで見え難かった下水道や公社、第三セクターなどの公営事業が自治体に占める赤字の割合や、将来の負担などがわかるようになる。  市長は「財政健全化法の4指標もクリアして、問題ない」という答弁だったが、根拠となる情報を公開してほしい。総務省は、地方公共団体が独立行政法人や地方三公社・第三セクターの資産負債などをインフラ資産(電気、ガス、水道、道路、鉄道など)と、将来の負担となる負債として連結して開示する「連結バランスシート」の導入をすすめている。これによって財政の透明化や財政負担の大きな原因がわかるという。
 市の取り組みは「今後検討していく」という答弁だったが、『市の地方債残高は一般会計、特別会計、企業会計で750億円を上回り、財政を圧迫している』という状況を市民に説明をする責任がある。市民がまちづくりの明確なビジョンを持てるように情報を公開するべきだ。


議案・委員会より
●無人ヘリ農薬防除へ 助成を求める請願可決

 市民ネットワークはこれまでも農薬のもつ毒性を訴え、ヘリコプターによる農薬防除に反対してきた。無人ヘリも低空とはいえ、その飛散の危険性は同様で、予防原則(有害性があるという要素があれば、予防的に規制を行うこと)の立場から反対である。国も無農薬や有機減農薬を推進し、06年には農薬が残留した食品の販売を禁止するポジティブリスト制度や飛散(ドリフト)防止対策を整えた。請願主旨の農業の高齢化や米価の安定・自給率低下などは、国が脳性の抜本的問題として取り組むべきだ。市長も江川地区をゼネコンと共に開発しようとしていたが、現在は農業生産法人として土地を買い上げ、有機農法などで米作りを模索中なので「助成は難しい」と発言。
(しかし清風会・市政クラブ・民主連合・民生クラブ・共産党の賛成で可決)

●鶴寿園・鶴寿園老人デイサービスセンターの建物、みどり会に無償譲渡

 建設当初から市に支えられてきたみどりの会だが、市はみどり会が独り立ちできるようになったことと、建てかえ費用のメリットが大きい事を譲渡の理由としている。しかし6年後に建てかえが可能なのかの保証もなく、これまで以上に経費削減がすすむ事が予想できる。そのしわ寄せはサービスの低下や介護現場で働く人に及ぶ。福祉の質の低下に拍車をかける市の責任は重い。
(土地は30年の無償貸し付け)




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